2013年 07月 23日
不思議な靴 |
前から見ても、横から見ても、斜めから見ても、
ホールカットだ。
しかし、妙なオーラを靴が放っているのがハッキリ感じられる。
ご常連のS様がオーダーされた当店で3足目となる高野圭太郎作のシームレス・ホールカット「Holyhead.K」だ。
私は「心の動き」を感じながら出来上がったその靴を久し振りにそのまま横において数日、その「妙」な感じを楽しむ事が出来るか確かめた。
高野の作った靴が最初理解出来なかったあの日のように。。。
それからクリームナチュラーレを全体に塗り(ハトメの断面も含め)2〜3日放置。
ブラシをかけてしばらく放置。そしてビーワックス・クリームを塗り2〜3日放置。
半敷きを入れてシューツリーを入れて、1〜2日後にS様に出来上がりの連絡をした。
これは私にとって大切な経験で、なくてはならないプロセスだと思う。
そして昨日S様は来店された。
皆さんもご存知の通り、靴は「そのものの価値、評価」と「足を入れたときの意味が含まれた時」とでは全然別物になる事が多いです。
この靴をS様の足に入れるときの私は全くの無心状態で、この時は足にしっかりハマったのを確認してから背筋に「ビリッ」と走るものを感じました。
S様も「いいですね!」と声を出され、それから私は「完璧なんだ」と確認して感動しました。
この「不思議な靴」(ホールカット)は
1足目がカールの黒の8インチ(10分仕立て)、
2足目が今店にあるワインハイムの茶の6.5(10分仕立て)、
そして今回もカールの黒の6.5で10分仕立てである。
高野の話だと小さなサイズほど、革をこなすのが難しいそうで、今回もよく形になったものだとほっと胸をなでおろしました。
カールなど特別な革でないと製作出来ず、丸く、大きく、革を切るため、革の善い部分を多く必要とするのも他のモデルと大きく異なります。
しかし、それも職人の「気と努力」の賜物であることを忘れてはなりません。
次のN様の9インチ(10分仕立て)に挑むばかりです。
「Holyhead.K」カールフロインデンベルグのボックスカーフのブラック、10分仕立て。
このシンプルな靴はまるで「意志」をもっているようなオーラを放っている。
¥451,000(税込み、パターンオーダー、シューツリー付き)
高野圭太郎作
10分仕立ての外側。
高野は最近インステップを「丸仕上げ」にしないで作ることがある。
私にとっても新鮮に感じる景色だ。
10分仕立ての内側。
アッパーの状態がとてもいい。
かかと側に向かって仮釣りしたときのシワが職人の力の入った苦労かいま見せてくれる。
今回は美しいカラス仕上げだった。
この底を見た時、しっかり踏みしめた時の人の喜びを想う事が出来る。
上出来である。
「包まれているみたいです」とS様は声を発した。
私の目的はまるでブーツのようなホールド感をS様に楽しんで頂く事だ。
靴紐を締めて、下からS様のお顔を確かめた時、すぐに「それ」が分かった。
靴の出来映えがどんなに良くても履いて頂くまでに必ず不安がある。
今回もうまくいってホッとしました。
この靴の持っている「効果」は計り知れないと思う。
そしてふとこの靴を造る為にカールフロインデンベルグを懸命に探していただろう関さんを想像した。
胸が熱くなった。
なぜ関さんの顔が浮かんで来るのかは分からない。
ホールカットだ。
しかし、妙なオーラを靴が放っているのがハッキリ感じられる。
ご常連のS様がオーダーされた当店で3足目となる高野圭太郎作のシームレス・ホールカット「Holyhead.K」だ。
私は「心の動き」を感じながら出来上がったその靴を久し振りにそのまま横において数日、その「妙」な感じを楽しむ事が出来るか確かめた。
高野の作った靴が最初理解出来なかったあの日のように。。。
それからクリームナチュラーレを全体に塗り(ハトメの断面も含め)2〜3日放置。
ブラシをかけてしばらく放置。そしてビーワックス・クリームを塗り2〜3日放置。
半敷きを入れてシューツリーを入れて、1〜2日後にS様に出来上がりの連絡をした。
これは私にとって大切な経験で、なくてはならないプロセスだと思う。
そして昨日S様は来店された。
皆さんもご存知の通り、靴は「そのものの価値、評価」と「足を入れたときの意味が含まれた時」とでは全然別物になる事が多いです。
この靴をS様の足に入れるときの私は全くの無心状態で、この時は足にしっかりハマったのを確認してから背筋に「ビリッ」と走るものを感じました。
S様も「いいですね!」と声を出され、それから私は「完璧なんだ」と確認して感動しました。
この「不思議な靴」(ホールカット)は
1足目がカールの黒の8インチ(10分仕立て)、
2足目が今店にあるワインハイムの茶の6.5(10分仕立て)、
そして今回もカールの黒の6.5で10分仕立てである。
高野の話だと小さなサイズほど、革をこなすのが難しいそうで、今回もよく形になったものだとほっと胸をなでおろしました。
カールなど特別な革でないと製作出来ず、丸く、大きく、革を切るため、革の善い部分を多く必要とするのも他のモデルと大きく異なります。
しかし、それも職人の「気と努力」の賜物であることを忘れてはなりません。
次のN様の9インチ(10分仕立て)に挑むばかりです。

このシンプルな靴はまるで「意志」をもっているようなオーラを放っている。
¥451,000(税込み、パターンオーダー、シューツリー付き)
高野圭太郎作

高野は最近インステップを「丸仕上げ」にしないで作ることがある。
私にとっても新鮮に感じる景色だ。

アッパーの状態がとてもいい。
かかと側に向かって仮釣りしたときのシワが職人の力の入った苦労かいま見せてくれる。

この底を見た時、しっかり踏みしめた時の人の喜びを想う事が出来る。
上出来である。

私の目的はまるでブーツのようなホールド感をS様に楽しんで頂く事だ。
靴紐を締めて、下からS様のお顔を確かめた時、すぐに「それ」が分かった。

今回もうまくいってホッとしました。
この靴の持っている「効果」は計り知れないと思う。
そしてふとこの靴を造る為にカールフロインデンベルグを懸命に探していただろう関さんを想像した。
胸が熱くなった。
なぜ関さんの顔が浮かんで来るのかは分からない。
by kokon-y
| 2013-07-23 18:09
| Hand made